浅草の裏路地にひっそりと佇む老舗寿司店「弁天山美家古寿司(べんてんやま みやこずし)」。
創業はなんと1866年(慶応2年)――江戸時代末期にまで遡る、日本最古級の寿司店です。
「浅草 寿司 老舗」「江戸前寿司 伝統」「浅草 美家古寿司」といったキーワードで検索されるほど、寿司通の間では知らぬ者のいない名店。
今回は、歴史・味・雰囲気をすべて網羅してご紹介します。
創業1866年|浅草で最も古い寿司屋「弁天山美家古寿司」
弁天山美家古寿司は、浅草寺の裏手・浅草観音裏と呼ばれる静かな住宅街の一角にあります。
所在地は東京都台東区浅草2丁目1-16、最寄り駅は東京メトロ銀座線・都営浅草線「浅草駅」から徒歩7分。
観光客が行き交う雷門通りとは一線を画し、まさに“江戸情緒が残る”一角に構えられています。
創業は慶応2年(1866年)。江戸から明治へと時代が移る激動期に、屋台から始まった寿司店が現在の店舗へと受け継がれました。
「美家古(みやこ)」という名には、“都(みやこ)=粋な江戸文化を伝える場所”という意味が込められているそうです。
江戸前寿司の文化をいまに伝える老舗として、国内外の寿司職人や食通からも高い評価を得ています。
江戸前寿司の原点|握りの基本を守り続ける伝統の味
弁天山美家古寿司の最大の特徴は、創業以来ほとんど変わらない江戸前寿司の技と味。
「早ずし(はやずし)」と呼ばれる、酢飯とネタを合わせた即席握りの原型を守り続けています。
特徴①:赤酢を使った伝統的なシャリ
一般的な寿司店が白酢(米酢)を使うのに対し、弁天山美家古寿司では江戸の風味を再現するため、赤酢を使用。
米の旨味を生かしながら、まろやかな酸味とほんのりとした熟成香が特徴です。
このシャリが、煮切り醤油をまとったネタとの調和を生み、控えめながら奥行きのある味わいを演出します。
特徴②:煮切り・づけ・煮貝など“仕事”が生きるネタ
江戸前寿司は、“仕事を施す”ことが命。
この店では、まぐろのヅケ、煮ハマグリ、コハダ、アナゴ、玉子など、すべてが職人の手仕事で仕上げられています。
特にヅケまぐろの濃厚な旨味と、ふっくらと煮上げたアナゴの香ばしさは絶品。
華美な演出こそないものの、江戸の粋を感じる一貫に心を打たれる人も多いです。
特徴③:玉子焼きに宿る伝統の味
創業当初から受け継がれる“厚焼き玉子”は、出汁と砂糖を絶妙に調整したほんのり甘い逸品。
これを目当てに訪れる常連客も少なくありません。
コース・おまかせ・雰囲気|老舗の凛とした空気感
弁天山美家古寿司は、観光客向けというよりも職人の世界を静かに味わう寿司屋。
カウンター8席と小さなテーブル席のみという、こぢんまりとした空間です。
昼はおまかせ握りコース(約6,000円〜)、夜は10,000円〜15,000円程度が目安。
メニュー表はなく、客の食べるペースや好みに合わせて握りが進んでいきます。
寿司が運ばれるたびに、店内に静かに響く「ヘイ、らっしゃい」の声が、まさに江戸の寿司屋そのもの。
初めて訪れる方は緊張するかもしれませんが、職人の親切で穏やかな接客が印象的。
外国人観光客も多く訪れており、“本物の江戸前を知る場所”として世界から注目されています。
訪問前に知っておきたい予約・営業情報
予約:基本的に予約制。特に夜は満席が多いため、事前連絡が推奨されています。
平均予算:昼 5,000〜7,000円前後、夜 10,000〜15,000円前後。季節の仕入れにより変動あり。
営業時間:11:30〜14:00/17:00〜21:00。
定休日:水曜日・木曜日。
支払方法:現金のみ対応(クレジットカード不可)。
座席:カウンター8席・テーブル2卓。
店舗リンク・アクセスマップ
アクセスマップ
まとめ|浅草で“江戸前寿司の原点”に触れる
弁天山美家古寿司は、単なる老舗ではなく「寿司の歴史そのもの」が息づく場所。
150年以上ものあいだ、江戸前の技と味を守り続けてきたその姿勢は、まさに文化遺産といえます。
にぎやかな浅草の喧騒を離れ、静かに寿司と向き合いたい方、
“本物の江戸前寿司”を体験したい方には、これ以上ない一軒。
観光客も、寿司通も――一度訪れれば、その理由が分かるはずです。


