鬼平犯科帳の食卓「なまり節」

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鬼平犯科帳の食卓「なまり節」 グルメ

なまり節をご存じでしょうか。
今はツナやシーチキンの方が一般的で保存もききますので、常備されているご家庭は多いかと思いますが、なまり節もあらゆる料理に変化できる超便利食材です。

このところ「なまり節」にはまってしまい、常に冷蔵庫の片隅に常備している存在となってしまいました。おかげで猫たちもおすそ分けを期待して目をキラキラさせています。

「なまり節」は初鰹と同じく、夏の季語ですので、今回取り上げて見たいと思います。

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なまり節(なまりぶし・生鰹節・生利節)

なまり節は、単に「なまり」ともいます。
かちんかちんに固くなる前の柔らかい状態の鰹節です。
カツオをゆでて骨を取った伝統食材で、低カロリー、高タンパクでヘルシーな無添加食材です。

切ったり、むしったりして、野菜と一緒に煮たり、胡瓜と一緒に酢の物にしたり、みそ汁に入れたり、サラダのトッピングにしたり、醤油に付けて食べたり、最近はマヨネーズを付けて食べる人もいます。炒め物や、パスタの具材にも便利です。

ツナは油を使いますが、なまり節は油はおろか味付けもされていないので用途は無限にあります。

江戸っ子のなまり節料理

鬼平犯科帳の食卓「なまり節」

江戸時代以降に製造が盛んになったというなまり節。
「二日目は矢次早まろ初なまり」。これは江戸時代の画家で、俳諧にも通じた枠人、酒井抱一が詠んだ句です。この「初なまり」が、すなわち今でいうなまり節。このようになまり節は、江戸時代の枠人に愛され、そして今日まで料理通の間で食べ継がれてきました。

江戸っ子はどんなふうになまり節を食べていたのでしょうか。

なまり節の記述は、『古今料理集』に多く、汁もの、煮もの、煎りもの、やきものなどに幅広く使われていた他、『料理早指南』で食べ方が具体的に紹介されていました。

『料理早指南』では、当座なまりぶしは「ふしにとりわらの火にくべてやき水へうつしよきほどに小口切りにする也やきかげん口伝。」とある他、
「なまりぶし大ぜみに切りうす醤油にて煮て上ヶ葛だまりかけるわさび或ハからし」とあり、なまり節の焼きもの、煮ものでの食べ方が読み取ることができます。

また、『料理早指南』では雑の部に、魚飯として鰹を「魚おろし身をすりてゆがきよくもみてかなずいのふにてこすめしつねのごとくにたきよくむれてのち魚をまぜる」
と、あり、他に鯛や平目もおなじようにすることが記されています。

『素人包丁』では、堅魚飯の作り方として「生節を小口切にしいかにも細かくほどき布巾に包もみて其後…でおろしせうかおろしだいこんとからしなどで食べる」とあります。

この生節はなまり節の意と考えられます。飯との相性のよさが読み取れます。
腐敗しやすいカツオは、実際にはなまり節にして使われることが多かったと思われます。

「なまり節」は鬼平犯科帳にも登場

池波正太郎の「鬼平犯科帳」にも登場します。
質素なものとして登場しますが、私の好物ばかりなので、なかなか贅沢な夕食と思いました。

 この日の、長谷川平蔵の夕餉の膳にのぼったものは、生鰹節の煮つけに、蚕豆の塩ゆで。竹の子とわかめの吸い物など、質素なもので、先ず、酒と共に二組の膳部が書院へ運ばれた。
(中略)
飯は、生鰹節をむして入れた濃いめの味噌汁に豆腐の厚焼きで食べたのだが、これを食べながらも助五郎は、
「油揚げは、まだか。まだか、まだか、まだか?」
しきりに催促をする。
「油揚げを、どのようにしてめしあがられます?」
「生でよい。生で、生で、生で。」

鬼平犯科帳『狐雨』より

なまり節は2種類

とっても便利で美味しいなまり節なのに、どういうわけかあまり見かけません。スーパーに売ってはいるけれど、いつも目立たない場所にひっそり存在しています。

(でも、あまり人気が出るとサバ缶のように品薄になってしまうので、今のままで良いですけど、私的には)

なまり節にはゆで上げただけのものと、軽く燻製にしたもののがあります。

スーパーで売ってるのはただ茹でただけのものが真空パックに入って売ってることが多いかと思います。
通常は冷蔵保存で1ヶ月程度で消費するのが普通なので、ツナ缶に比べてると保存性には落ちます(でも魚と思えば長いですよね?)

さらに鰹の部位によって味が異なるということです。
お好みのものを選んでみてくださいね。

雌節(めぶし)

鰹のお腹の部分。皮に縞模様があって脂分が多いのが特徴。

雄節(おぶし)

鰹の背中の部分。皮が黒くて身が詰まっているのが特徴。

亀節(かめぶし)

雄節と雌節を分けていない状態。
2本分よりは割安で、間に骨が残っています。

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